「猛暑の年は豪雪になる説」を徹底調査!その結果は?!

今年の夏は本当に暑いですね。

石川県小松市は台風6号と7号の影響でフェーン現象が強まり、観測開始以来初めての40℃を更新し、
8/5と8/10は全国で一番の暑さとなりました。


熱中症で搬送される方のニュースが連日報道されていて、9月にはいってもまだまだ暑いです。室内においても無理をせず、こまめな水分補給をお忘れなくお過ごしください。


観測史上、災害級の暑い夏ですが、例年通りですと9月半ばの秋分の日を過ぎると、徐々に過ごしやすい日になってくるかと思います。


そして秋が到来すると、あっという間に北陸ならではの厳しい冬がやってきます。今年は猛暑の年だったので、豪雪ではないかと噂されていますね。


「暖冬だと冷夏」または「猛暑だと豪雪」という説。
皆さまも聞いたことがあるかと思いますが、本当なのでしょうか?これを機に調べてみました!


石川県・福井県の平年の天候と特徴

こちらは国土交通省気象庁のホームページで公開されているデータです。2011年に発表されているものなので、少し情報が古いですが参考までにご覧ください。



【月平均の気温】

赤線:日最高気温月平均値 緑:月平均気温 青:日最低気温月平均値

気温の変化をみると、北陸は季節の進行とともに上昇・下降し、春から盛夏期は日照時間が増加し、晴れる日が多くなっています。




【降雪の深さ】

こちらのグラフは月合計の降雪の深さとなります。

降水量は梅雨時季の7月は多く、沿岸部より内陸部・山間部の方が多い傾向となります。



【出現率】

天気出現率というちょっと変わった統計が気象庁データにあります。各気象台毎にあり、様々な天候から雪が現れる割合を日ごとに計算したものなります。

冬場の晴れの日と降水ありの日の出現率(こちらは新潟の平年値になります)

冬型の気圧配置が強いと、雪雲は山沿いや山間部で発達して大雪をもたらします。また上空の寒気が強いと 平地でも大雪 となります。また、 雷の発生頻度が夏季ではなく冬季に大きいのも、北陸地方の特徴です。


つまり、過去のデータからみても猛暑の年は豪雪という結果は得られませんでした。



雪雲が発達する条件

そもそも、雪雲はどのような条件でできるのでしょうか?雪雲は、雪や氷の結晶を含む降水をもたらす雲の一種ですが、雪雲が発達するためには、特定の気象条件が必要なはずです。それを調べてみました。

大まかに以下の4つの条件が必要のようです。

①気温が摂氏0度以下
②高湿度であること
③上昇気流があること
④不安定な大気であること


北陸でこれらの条件が起こりやすいのは、まさに、「冬」になります。

また、これら4つに加え、山岳地帯形成される山岳効果やアップスロープ効果により雪雲が発達しやすくなりなることがあります。

【山岳効果】空気が山にぶつかることで強制的に上昇し冷却された水蒸気が凝結し雪雲が形成される。
【アップスロープ効果】風が山脈に向かって吹く風が山にぶつかって上昇し寒冷な雲が形成される。

またさらに加えて、日本海海面に面する北陸は、「海効雪」も条件の1つとなります。

【海効雪】海面からの水蒸気により雪雲が形成される。

こんなに暑かったら「海効雪」の効果で今年は豪雪になるのでは?

「海効雪」の効果で、気温の高い時期に海面から上昇した水蒸気が、空中に長年にかけてたまり、冬場にどかん!とまとまって降ってくるのでは?と思ってしまいますよね。


しかし、海効雪は、寒冷な水面からの水蒸気が、湿った空気と接触して冷やされることで雪雲が形成される現象です。猛暑の温かい気温では海効雪は形成されず、雷雨や濃霧などになってしまうそうです。海効雪だけでは、豪雪を引き起こす直接の原因になることは無いそうです。


ただし、冬直前まで温暖な気温が続く状態で、その後急に寒冷な気温に変化すると、海効雪により狭い範囲に集中して豪雪が起こることもあるようですのでご注意を。


2018年の北陸豪雪はなぜ起こった?

まだ記憶に新しい2018年の北陸豪雪ですが、この年の夏はどうだったのでしょうか?沢山の雪が降る原因は何だったのでしょうか?


先ほど説明した「海効雪」や「山岳効果」「アップスロープ効果」たちが重なったのでしょうか?


2018年の年の寒波は何度か到来しており、そのたびに原因は異なります。1月下旬の寒波は、同年秋から発生したラニーニャ現象と偏西風によるものだと言われています。


そして2018年2月の大寒波に関しては、日本海寒波帯気団束帯が北陸に停滞したことが原因なんだそうです。「日本海寒波帯気団束帯」とは強そうな名前ですよね。この現象は日本海と周年地域の特有な地理的条件と気候が組み合わさることで引き起こされるものになります。


2018年の豪雪の原因は猛暑によるものでもなく、また「海効雪」や「山岳効果」「アップスロープ効果」でもないことが分かりました。

結果

日本海寒波帯気団束帯(1つの原因となる帯状降雪)や、帯状降雪、ラニーニャ現象、偏西風など、豪雪になるには、地形・タイミング・風向きや気候など本当に様々な影響が重なって発生するのです。

つまり猛暑だから、と言う理由で冬が豪雪になることはないようです。



データから猛暑の年は豪雪になるという結果は得られませんでしたが、じつは2018年の夏は、実は観測史上初の猛暑でした。

・・・今年の猛暑こそ観測史上の40℃超えです。どうか偶然であってほしいですね。

2025年の北陸の冬の予想

気象庁のエルニーニョ/ラニーニャ現象のデータからの予測では、春から続くエルニーニョ現象は冬にかけても続く可能性が高いとの事で、比較的暖冬になるのではと予測されています。

エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生確率(予測期間:2023年6月〜2023年12月)

エルニーニョ現象が続く場合、太平洋の海水温が通常よりも高くなり、大気と海洋の相互作用が変化します。この影響により、気象パターンが変動し、特に寒冷な空気が大規模に流れ込む寒波が起こりにくくなることがあります。


ただし、気象は複雑な現象であり、一概にエルニーニョ現象が寒波の発生を完全に防ぐわけではありません。他の気象要因や地域の気候条件も影響を及ぼすため、エルニーニョ現象が続いていても、寒波が発生することがあることを念頭に置いておく必要があります。



こんな場所は秋口から早々にご準備を。

まだ暑いですが、10月を過ぎると徐々にご依頼も増えるので、ご予約もスムーズにいかなくなります。寒くなってから準備では、遅すぎます!備品の発注や在庫の確保などにも時間を要します。

また皆さん同じ時期にご依頼されるので、工事が重なりなかなか順番が回ってこない、なんてこともあります。ぜひ余裕を持って冬支度をしましょう!

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